旧ユーゴスラビアにあるSpomenik(スポメニック)について
旧ユーゴスラビアの国々に点在する、Spomenik(スポメニック)と呼ばれる独特な形をしたモニュメントがあります。
サイズ・形ともに非常にバリエーションに富んでいて、山奥に佇む巨大なものから、街中に溶け込む小さいものまで多種多様なSpomenikが存在します。
Spomenikに関するデータベースで色んな写真を見れるんですけど、特に有名なやつと個人的に形が好みのやつをいくつか紹介します。
Podgaric(クロアチア)
何だか近未来チックな形をしていて、Alan WalkerのDarksideのMVに使われたりしてます。
高さ19mの巨大Spomenik。間に立ったら何かが起こりそう。
Ostra(セルビア)
近くに建物があると、よりSpomenikの奇異性が際立ちます。
Krusevo(北マケドニア)
出窓それぞれに色の異なるステンドグラスがついているオシャレSpomenik。
まだまだあるんですけど、こんな感じで色んな種類があって面白いです。
そもそもSpomenikとは何なのか?
Spomenikという単語はセルボ=クロアチア語及びスロベニア語でMonument(モニュメント)を意味します。
Spomenikが建設されたのは1950年~1990年代で、主な目的はユーゴスラビアにおけるWW IIの枢軸国による占領や、チトー率いる人民解放軍の活躍を歴史に残すためでした。
加えて、WW IIが終わり社会主義体制が確立したユーゴスラビアでは、「自国のイデオロギーを象徴するような新しくてイケてる何かを作りたくね?」という流れになり、新しいSpomenikがどんどん作られることになりました。
つまり、Spomenikには戦争記念碑としての意味を持つものやユーゴ建国時の「イケイケムード」(≒ Optimism) を象徴するものなどがあり、形と同様にそれぞれのSpomenikが持つ意味も多種多様なのです。
ユーゴスラビア解体に伴い、多くのSpomenikが放棄もしくは破壊されてしまいました。
正確な数は分かっていないものの、当時は2万~4万個のSpomenikが建設されたと言われています。
いくつのSpomenikが現存しているのかはまだ調査中みたいですけど、とりあえずいま見つかっているものは後述するデータベースに掲載されています。
多様な意味合いを持つという特性上、今でも「Spomenikはユーゴスラビア紛争を思い出させる負の遺産だ」派や「Spomenikはファシズムへの勝利を象徴する遺産だ」派がいたりして、管理しようにも何かと扱いにくいモニュメントになっているようです。
しかし近年Spomenikに興味を示す観光客が増えてきたことを受けて、Spomenikを観光資源として整備しようという動きも見えてきています。
僕自身も、Spomenikのひとつひとつがユニークな形と意味合いを持つという点を面白いと感じたので、ぜひ知ってもらおうと思って今回の記事を書くに至りました。
街中にふつうにあったりするんで、旧ユーゴを訪れる機会があればぜひ目を向けてみると旅行がもっと面白くなると思います。何も知らずに見るとただの近代アートですけど、背景を知っているとユーゴの歴史に思いを馳せることができます。
山奥にあってアクセスしづらいものも多いですが、巨大かつヘンテコな形をしたSpomenikは、なかなかインスタ映えなんじゃないでしょうか。ただくれぐれもその歴史的背景にリスペクトは持ってほしいです。
いつか「Spomenik巡りの旅」みたいなマニアックな旅をしてみたいです。
※さいごに
https://www.spomenikdatabase.org/
から引用しました。Spomenikに関するデータベースサイトで、本とかも出版しているので興味があればぜひ覗いてみてください。現存するSpomenikの場所を地図で示してくれていたり、カテゴリーごとに写真を見れたりして非常に充実したサイトになってます。